「この日本で、ソニアをこんなに素敵に着こなしている女性に逢ったのは初めてです。感激だ!」そう言った紳士は、まだ無名だったソニアの服を日本に初めて仕入れた人でした。その後、大手デパートの手に渡り、一般大衆化されたあとのソニアの服には多くの女性がむらがりました。エレガントでフェミニンな女を表現したニットは、瞬く間に袖丈、スカート丈が無惨に切り落とされ、流行だけを追い求める女性たちに買いあさられたのです。欧米では、サイズが合わなくて切り刻むくらいなら、その服は買いません。そんなことをすれば、服のトータルバランスが崩れてしまうからです。後年、その紳士の話が風の便りに伝わってきました。「ソニアは絶対大衆化されてはいけないのだ。本当に似合う女性たちの間だけで生き続けなくては」そう言って彼は店を閉じたそうです。ソニアの流行を見て私は複雑な思いでしたが、あの遠い日のパリの街角で、ソニアのセーターと出逢ったときの感激は、きっと一生忘れないことでしょう。