ぼくは、ある有名私立進学校に通っていた。そこの生徒はほとんど全員、国立大学を受験する。実力はなくても国立大学を受けなければならない雰囲気があった。だから成績のよくない仲間は地方の国立を受けるか、見栄をはって一流の国立を受けて浪人し、その後ランクを落としてどこかに入るか、私立で妥協するかになるのだ。ぼくは男ばかり4人兄弟の次男だった。長男は商売を継いでおり下の2人も学生だった。親は子ども達に大いに期待していた。特に勉強はぼくが一番できたので勉強に関してはぼくが我が家の希望の星だった。しかしぼくは勉強に行き詰まっていた。国立を受けて合格する自信などまったくなかった。浪人して受かる自信もなかった。他の教科もたいしたことはなかったが英語はとりわけ落ち込んでいた。とくにリスニングはお手上げだった。高3の夏が来て志望校を絞る時期になったが、どこにも受かる自信はなく偏差値や判定も最悪だった。親は商売に忙しいのとあまり成績の見方がわからないのもあって無関心ではないのだがぼくに任せているという感じだった。