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「格式」と「鑑賞」の空間性格を併せ持つ床の間の出現

明治維新をむかえたとき、とつぜん、庶民のすまいにおける接客空間の一大転回が進行した。どこの家でも、お屋敷をまねて、座敷や応接間をせっせともうけ、あるいはもうけることを理想とするようになったのである。その座敷には、銘木をあしらった床柱や床框、付け書院に違い棚というデンとしたつくりに、明治天皇像や天照皇大神宮の軸がかけられ、また一方では、そこにさまざまな置物や生花などがならべられた。前者のそれはあたかも、近代ナショナリズムに裏づけられた家父長制社会を象徴するかのように。

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後者のそれは、近代大衆文化の普及発達を証するかのように。つまり、今日私たちがイメージする「格式空間」と「鑑賞空間」の二重の性格がオーバラップした床の間というのは、このように、明治以後の庶民住宅の発展のなかで形成された産物なのである。