実はMさんは、今の彼の前にも同棲経験がある。23歳から24歳にかけて、約1年ほど、3歳年上の人と暮らしていた。「それは彼が家に転がり込んできたって感じでした。仕事もバリバリだけど、遊びもバリバリこなす人で(笑)。うーん、凄く大変だった」。コンサート関係のイベンターだったその時の彼は、ちょっと昔の典型的な業界人だった。毎日のように飲み歩き、有名人との付き合いも少なくない。パーティや内輪の集まりには必ずMさんを同伴したがり、飲めば奢りたがり、どんどん仲間を引き連れて、何軒でもはしごする。競馬・競輪・ポーカー等、合法、非合法問わずギャンブル大好きで、稼ぐ代わりに湯水のようにお金は消えていったという。「すごかったですねー。まだバブルの余波が残ってた頃だったのか、とにかくお金を使うのが好きな人でした。最初は豪快な彼の性格にひかれたんですけど、実は度を越えた亭主関白で、結婚してるわけじゃないのに私は毎日彼の着ていく服を、着る順番に用意したりしてた」起きたらまずTシャツ、それから靴下。スーツ、ネクタイ、冬ならコート、マフラーまで。常にきちんと用意して、靴もピカピカに磨いておかなければならなかった。「でもそんな彼でも、嫌いじゃなかった。やっぱりいろんな面で、男として力があるからそこまでできたんだと思うし。でも、どうしても我慢できないことがあったんです」。それは金銭的なルーズさ。ギャンブル好き、奢り好きの彼は、しばしば給料日前に全くお金がなくなっていた。それも同世代のサラリーマンに比べれば、随分良い月収を貰っていながら。「使っちゃうのはまだ良いんです。彼が稼いだお金なんだから。でもそのうち、私が机の上に財布を置いておいたりしたら勝手にカードを持っていってキャッシングしてきちゃったりするようになって。それでも最初は次の月に返してくれたんだけど、徐々にそれもなし崩しになっちゃった。最後は銀行から督促状が来て、私のカードも全部止められたんです」もちろん、そうなるまでにも、Mさんは何度も彼に忠告したそうだ。こんな生活は絶対におかしい、もう少しどうにかならないの?と。「でも駄目でしたね。一度身に付いちゃった癖は治らない。特に贅沢とギャンブルなんて麻薬みたいなものじゃないですか。だからもう、最後は彼が仕事に行ってる間に飛び出してきちゃったんです」。それでも仕事を辞める気はなかったMさんはとりあえず神奈川の実家から、毎日2時間近くかけて会社に通った。それから約半年かけて、荷物を引き上げ、不動産屋との交渉を終えた。何と言ってもMさん名義で借りていた部屋。違う人間が住むことも違法なら、その家賃の支払いもMさんの義務だった。「もう笑っちゃいましたね、辛すぎて。でも私、嫌なことはすぐに忘れるんです」。そして1年弱、今の彼との交際が始まった。「だから今の彼と一緒に住もう!ということになった時、とりあえず金銭的な問題は抱えたくなかった。だから今は何もかも折半です」。家賃、光熱費はもちろん、雑費も食費もその月に使ったものは全部レシートを取っておいて、月末にきっちり清算する。人間は学習する生き物なのだ。