入院を渋る夫に、妻は本当にいらだっていたのでしょう。その必死な思いが、このような言葉になって出てしまうところに、人間のかわいさ、切なさ、哀しさがあるのだと思います。「まあ、再発作の可能性は絶えずあるわけだから、今までと同じ感覚で働いていたら命を縮めるよね。入院して、そのあたりをしみじみ考えてくれたのなら、本当に喜ばしいことだね。それがこの先続くといいんだけどね」散々入院時に手こずらされた主治医は、そうそう簡単に、彼の変化は信じられないようでした。それは私も、同感。ただ、命拾いをした彼の価値観の変化を、多少は期待したい気持ちにはなっていたのです。少なくとも入院中の彼の言葉からは、そうした変化が十分期待できました。しかし、その後、私の期待は見事に裏切られることになります。約三ヵ月の入院の後、退院した彼は、最初の一月こそ自宅で静養したものの、次の月からは仕事に復帰。前と変わらぬオーバーワークを続けていると聞きます。